七月

もう七月ですね。早い・・・。去年の夏、今はない渋谷の人形美術館・マリアの心臓でだらだらと時間を潰していたとき、ふと目の前の、以前は視線をやるだけで言うに言われぬ感情が腹の底から溢れてきた天野可淡の人形が、一瞬ただの粘土のかたまりのように思えて、これは自分の人生が違う段階に入ったのかなあ、となんとなく感じたのを思い出します。「可淡は太宰、恋月姫夏目漱石のようなモノ」とはオーナーの言。
とはいえ、あれから一年以上生きてみても、これといった違いを実感できたことは全然ないのですが、ただ、自分を包んでいる空気の層が、いままでより皮一枚分厚く、ビニールみたいにぶよぶよとした質感に変わったような感じがします。幾分不穏でありながら、どこかしら心地よくもある、というような。


勿論カタンドールはいまでもとても好きです。

カタンドール・レトロスペクティヴ―天野可淡人形作品集 (Pan-Exotica)

カタンドール・レトロスペクティヴ―天野可淡人形作品集 (Pan-Exotica)