身寄りといえば母しかおらず、自らに起こった出来事はひとつ残らず報告する義務のある少年が、その粘着性の糸が所狭しと張り巡らされた家を突発的に飛び出し、この世の果てまで逃げようと思い立つ。 一緒に持って行きたいガラクター彼にとってはそのひとつひ…

http://vimeo.com/2502167「比呂美−毛を抜く話」（1981）は鈴木士郎康監督の個人映画で、詩人の伊藤比呂美を撮ったフィルム。思いついたまま話しているかと思いきや、詩の朗読になっていたりする、魅惑的な一本です。可笑しかったり、怖かったり、子どもじみ…

・かりそめの魂溶ける抜け殻に ・壊れつつ蝿の額に針を刺し ・仄昏き体温計のたわむなり ・白蝋の蝶に滴る糖蜜や ・石鹸に、骸（むくろ）、骸（むくろ）、と願をかけ ・石壁に牛乳注ぐ弔いに ・蔓草の過剰に萌ゆる聖ムハ忌 ・人妻の義足の割れる深夜かな ・…

アテネフランセで上映されたドイツの映画監督ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーの「マルタ」と渋谷哲也氏による講演「ファスビンダーと結婚の風景」に行ってきました。 アテネフランセの場内に入ってまず少しびっくりしたのは、女性観客の比率が多くなっ…